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感覚タイプ~なぜ下村式を選ぶのか。 [教室]

私は漢字学習に下村式の「漢字の本」をつかっている。その理由として
「漢字の本」は子どもの認知の仕方「視覚」「聴覚」「感覚運動」のすべてに
うまく働きかけられるように構成されているからである。
そして、だからこそ、子どもたちはこの本で学習することを「楽しい」と感じるし
漢字が好きになる。



アルフレッド・アドラーは「人間知の心理学」(1926)の中で
子どもがそれを用いて周りの世界を征服しようとする器官のうち、外界と切り離すことのできない関係を作り出すのは、主として感覚器官である。これが世界像を構築する助けとなる。(『人間知の心理学』アルフレッド・アドラー著 岸見一郎訳 2008 アルテ)

との書き出しで、人間が外界を認識する3つのタイプ「視覚タイプ」「聴覚タイプ」「感覚運動タイプ」
について言及している。今でこそ、これらの認識タイプについては例えばMI理論などの学習心理学
、例えばNLP、といった様々な心理学で常識的にとらえられているが、この認識タイプを初めて理論化したのは
アドラーに他ならない。
そして私が授業で用いる「漢字の本」は漢字の成り立ちを視覚的に(象形文字)とらえられるように示し、
書き順を、独特な言い方で唱えながら書かせることで聴覚的にも漢字を覚えられるようにしている。
もちろん、見ながら、唱えながら、書くことによって感覚運動タイプの子どもにも配慮されている。
つまり、どの子どもの感覚タイプにも応えられるような構成になっているのだ。
例えば「豆」をどう唱えるかというと「いちくちそいち」と唱える。
これを単なる書き順でいえば「イチ、ニ、サーン、シイ、ゴー、ロク、シチ」である。
これでは何の漢字を書いているのかは聴覚的には記憶できない。
「いちくちそいち」ならば聴覚的にも「豆」しかありえない。
たぶんアドラーの理論などは考えずに、覚えやすい方法を実践の中から編み出したのだとは思う。
しかし、この本はアドラーのフィルターを通してみても子どもの立場に立った学習書だと思う。

例文や、熟語が丸ゴシックになっている。教科書体に直せないものか問い合わせたところ
検討はしているそうである。しかし、子どもたちに漢字に親しんでほしいという思いから
あえて丸ゴシックを使っているそうである。学習書と言うより、絵本として読んでほしいということだ。






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